飯田大和の自然教室
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 小・中学生のための理科の自由研究の進め方(改定しました)

 平成18年8月10日に朝倉市教育委 員会の主催で「自然の観察会」を行い、その後9月に甘木自然の会との共催で第3回の自由研究の作品展を平塚川添遺跡公園で実施しました。
 小学生からの応募数が250点(昨年の17年度は170点)と多数の作品が寄せられて、年々多くなり、素晴らしい自由研究が多く見られて大変喜んでいるところです。  
 そこで、さらに内容が充実した自由研究ができるように、その進め方についての説明を前回よりも分かりやすいように改定をしました。
 自由研究は季節を問わず行うことができるので、また、それが望ましいので今回その改訂版を早めに出させていただきました。
 ◎年間を通して研究をしていく小学生・中学生が多くなることを願っています。
 
                                                  2008年6月


小・中学生のための 理科の自由研究の進め方



第1部 自由研究の基本について


Q1 自由研究とは何ですか?

  研究のテーマや内容、方法などは、自分で自由に考えて研究をすることだよ。
  とにかく、すべて自分で考え自由自在に行う研究のことなんだ。
   ※ テーマが決められていたり、いくつか決められている中からで選んで研究するのは 課題研究といい  ます。


Q2 でも、どんな研究をしたらよいのかさっぱり分からないのですが ・・・・・。

 う~ん。では、先ず次のことを考えてみようかな。
   ☆ あらたまってあまりむつかしく考えないこと。
   ☆ 身の回りに無限にあることに気づくこと。
   ☆ 季節に関係する研究や季節に関係なくいつでもできる研究があること。
   ☆ 研究の期間の長さはさまざまであること。 数時間、数日、数週間、数ヶ月、数年、一生をかけて など

 そして、研究のきっかけ(動機)は何でも結構!
  ○ 人にすすめられて      ○ ぜひやってみたいと思ったから
  ○ 興味があるから                  ○ 地球を救いたいので
  ○ ふしぎに思ったから            ○ 人の生活に役に立つため
  ○ 難問を解決したいから        ○ 新発明や新発見をしたいから
  ○ とにかく ・・・・・ あります。


Q3 それでもわかりません ‼  例えば?

  それもそうだね。それじゃ~、いくつか例を上げてみよう。

<その1>自分にもっとも身近なものを考えて見ると~

 【☆ 自分の体を研究するのも面白いよ。】
  • 自分の手の平と手の甲を見てごらん。
    10本の指の指紋、手の皮膚、爪、血管、痛いところ(痛点)、温かいところ(温点)、汗の出るところ(汗腺)、毛、皮膚の模様などいろんな観察ができるね。自分の手だけでもこんなにたくさんあるのだよ。
  • このうち指紋だけでも、家族の指紋の特徴、親族の指紋の特徴など、ついでに足の指紋へ広げていくこともできるんだ。
  • このように自分の手だけでも研究は広がり、また、深まり、面白い研究になりそうだね。

<その2>つぎに、興味や関心が比較的多いものを考えて見ようか。

 【☆ 化石探しをしてみよう。】
  • 化石が含まれる地層があれば、そこで採集や調査をするのはとても良いですね。
  • そんな地層が近くにない人は   化石を含んだ石で造った建物があります。それを探し出して次のことを調べましょう。 スケッチ デジカメで撮影 化石の大きさを測る 岩石の名前や化石の名前
  • いろんな建物を見てまわりましょう。大きな都市ほど多く見つかります。
  • 化石が見つからない場合もあるのでそのための用心に、調べる建物には、どんな岩石がどんなところに利用されているかを調べておきます。石垣があればついでに調べ、そして“人の生活に使用されている岩石の種類”へと 研究テーマの変更です。

<その3>では、身近にあるものを使ってみよう。

 【☆あっ、虫めがねがあった。レンズでの研究もおもしろいな! これを使ってどんな研究をしようかな ~】
  • 太陽の光を集めて水を温め、太陽のエネルギーを調べてみようかな?
  • 虫めがねを使って針穴写真機ができると聞いていたから作ってみようかな?
  • 月に宇宙基地ができるそうだから、簡単な望遠鏡を作って月の観察をしようかな?
  • いろんな花のつくりを、虫めがねを使って調べてみようかな?

<その4>そのほかには

(第1案)教科書に載っている「観察」または「実験」をやってみよう。

 ①「学校で学習をしたけれども、よく分からなかったので」
 ②「面白かったからもう一度やってみたい。」
 ③「今から学習する観察・実験を自分でしておこう。」 ← 理科が好きになる大きなきっかけ!
 ④「教科書に載っている発展学習の中から選んでしよう。」← 理科がどんどん得意になる!

(第2案)本屋さんに行くと「自由研究コーナー」に本がいく種類もあるので、「自分にとって おもしろそうなもの」、「やりやすいもの」を選んで、その本の通りにやってみるとよい。

(第3案)テレビ科学館で紹介しているものを自分でやってみるのもいいな。

(第4案)自由研究は好きではないが、マジックは好きという人は「科学マジック」をおすすめだ。「科学マジック」の本は、図書館(市町村・学校)や本屋さんにけっこうたくさんあるから、行ってごらん。


<その5>ついでに、自然の世界を学問的に分けると大まかには次のようになるんだ。 むつかしい表現で申し訳ないね。

 生物 ・・・・・ 植物、動物、微生物など
 化学 ・・・・・ 液体・気体・固体などの物質の性質、燃焼、酸化、還元、分解、化合など
 物理 ・・・・・ 電気、磁気、光、音、熱、運動、エネルギーなど
 地学 ・・・・・ 地質(岩石や砂泥、地層、化石など)
        気象(天気、雲、季節、台風、など)
        天文(衛星、惑星、恒星、星雲、星団、銀河、ブラックホールなど)
  • 1つの種類について調べる。 何種類も調べる。 育てる(飼育・栽培) 性質を調べる。  変化を調べる。 何かを発明する 何かを製作する。 標本を作る。
  • 家の中、家の敷地内、野、山、海、小川、田、畑、町の中、昼の空、夜の空、遊園地や公園、 いろんな店のいろいろな商品、いろんな建物、図書館の本などの場所や物など、あるある大辞典だな。その中で、ふと興味や好奇心、疑問を持ったものに取り組んでみよう。





第2部 自由研究の手順 について


Q1 それでは研究の実際について質問します。研究テーマと内容との違いは何ですか?

研究テーマは研究の目的や内容を大きく表したものだよ。研究内容とはテーマや目的を達成す るのに必要なことがらだ。 研究テーマは、研究の進むなかで変更してもかまわんよ。


Q2 研究をする場合に大事なことは何ですか?


  そうだね。できれば研究の見通しを立てることが前もってできればすごいな。
     ○ 目的 どういう研究をしたいのかをはっきりと文章にしよう!
     (○ 予想 研究をする前に、研究の結果はこうなるのではないかと予想して進める場合もあります。)
     ○ 計画  計画を書く!
      ① 具体的な内容 どんなことを調べるか内容を決める。
      ② 調べる方法   使う機器具類も考えて準備する。
      ③ まとめる方法  ノートを準備して、まとめ方の形を決める。
     ということじゃが、研究をしながら見通しの変更はいっこうに構わんよ。

 もう一度ことわっておくが、研究を進めるなかで上の①~③は変更が必要になることも多い ということを忘れないでな。


Q3 研究を進めていくときに注意しておくとよいことはどんなことですか?

 なかなか良い質問だね。自分で考えていくことも大事なんだが、わしの考えを出してみるから参考にしてもらえば幸せだね。

   < 研究を進めていくときの注意 >
  • 感想・・・研究を進めているとき、できるだけ多くメモをすることが大事!なんだ。 結果・発見したこと・変化・疑問に思ったこと・面白いこと・驚いたこと・失敗したこと・苦労したこと・ほかの人の感想・・・・・・・たくさん、たくさん書くことがあるよ。新しい発見につながるし、他の人が読む ときに楽しいし、とても参考になることが多いんだよ。
  • 結果・・・研究の結果は、実際になったことを書くんだ。自分で失敗思っていることにも大事なことが隠されていることが必ずひそんでいるんだ。あとで、すっごい発明や発見につながることも多いんだよ。

  

Q者 わかりました。気付いたことや感じたことなどじゃんじゃんメモをしておきます。
    それじゃ~、研究をまとめるときの注意は? ・・・・・・・ つぎつぎに聞いてごめんなさい。

A者 なになに、いっこうにかまわんよ。
    研究のまとめは、何にまとめるかがとても大事なんだよ。
     くりかえすけど、ノートがとってもよいね。
      たくさん書ける  まとめやすい  見やすい  からだよ。
    パソコンもいいね。多くかけるし、修正もしやすいし、色も使える。
        図の作成がむずかしい場合は別に手書きですればよい。
     ※ 模造紙や画用紙はあまり感心しないね。くわしく書けないからだよ。
                                     

Q4 研究するときに使用する機器具にはどんなものがありますか?

  それは、当然のことながら研究の内容によって様々だね。まあ、参考のためにどんなものが考えられるか少しだけ例を上げてみよう。
○顕微鏡 ○双眼実体顕微鏡 ○ルーペ ○写真機 ○デジタルカメラ
○望遠鏡 ○双眼鏡 ○フィールドスコープ ○温度計 ○湿度計
○気圧計 ○ストップウオッチ ○ピンセット ○ものさし ○巻尺
○ケース ○ほか研究に関係するもの・・・・
  この中で、“デジタルカメラ”はどんな研究でも使うと、研究のまとめがすばらしくなるよ。 写真の画質に関係する画素数というのがあって300万画素もあれば十分。 接写に優れたものもいいね。わしが持っているのは1cmまで接近して撮影 できるから、いろんな観察や記録に大変役に立っているんだ。


Q5 最後に自由研究のまとめ方を聞きたいのですが。

 そうだね。Q1Q2と重なるけど、自由研究の一般的なまとめ方を紹介しておこうね。
   まとめ方はいろんな様式があるので、最初は自由にまとめるのもいいよ。
  ① 研究テーマ ・・・・・・・ 一口にはむずかしいが、研究の目的や内容を大きく表現したもの、研究することをズバリ表現、だね。
  ② 研究の動機 ・・・・・・・ なぜこの研究を始めたのか、そのきっかけ・理由を書く。
  ③ 研究の目的 ・・・・・・・ 研究で最も調べたいことや成功させたいことなど。
  ④ 研究結果の予想 ・・・ 予想できることがあれば書いておく。
  ⑤ 研究の計画 ・・・・・・・ どのような内容を、どのような方法で
  ⑥ 研究の実際 ・・・・・・・ 研究の計画に沿って研究を進め、次のことをまとめる。
    ・研究の経過と結果 ・・・・・ 研究の記録です。標本を作る。製作する。写真集を作る。実物 図、表、グラフ、パーセントで示す。
   ・研究の考察 ・・・・・・・・・・・ 結果についての自分の考えをまとめる。自分が予想していたことがあれば、それとの関係も合わせてまとめる。
  ⑦ 研究の成果と今後の課題
    ・研究の成果 ・・・・・・・・・・・ 研究をして分かったこと・良かったこと
    ・今後の課題 ・・・・・・・・・・・ 研究をして新しく疑問に思ったこと、さらに調べたいこと