三 ため池に訪れるカモ類

 観察がしやすい松延池と笠堤に訪れるカモの大群は、晩秋から翌春にかけての筑前町の風物詩である。特に、十二月に入ると池干しが始まる松延池では、カルガモをはじめ各種のカモが大群を成して集結する。それに加え、サギ類・カワウ・オオバン・シギ類・セキレイ類・カワセミ・カイツブリなども居てその情景は圧巻である。

 * 本町で確認できたカモの種類…二冬を通して一二種類のカモを観察することができた。
  ○トモエガモ(絶滅危惧U類) ○オシドリ(準絶滅危惧)
  ○マガモ ○カルガモ ○コガモ ○ハシビロガモ 
  ○ヒドリガモ ○オナガガモ ○ヨシガモ ○オカヨシガモ 
  ○ホシハジロ ○キンクロハジロ 

 *種類と個体数が多いため池…松延池 笠堤

ハシビロガモ♀♂(松延池)


オカヨシガモ♂(松延池)


キンクロハジロ♂(松延池)


トモエガモ♂(笠堤)


ヨシガモ♂(笠堤)


ホシハジロ♂(笠堤)


コガモ♂(笠堤)


ヒドリガモ♂(笠堤)


オナガガモ♂(笠堤)
 * カモは安全とわかれば、山間にある狸原池・長五郎池などの小さなため池にも訪れている。

 * 生活…日中は羽の手入れ、睡眠、小魚・水生昆虫・水草などの採餌を行い、夜間は川・水田・草原の落ち穂や草の実などを採餌する。

 * 移動…カモは必ずしも同じため池に定着しているのではない。危険を感じたり、餌の状況により筑前町内外のため池・ダム・宝満川などを行き来する。

 * 留鳥のカモ…カルガモ

カルガモ♂♀同色(笠堤)
 *ごく少数が本町で越夏するカモ…オシドリ、マガモ

オシドリ♀♂(笠堤)


マガモ♂♀(中堤)
 * 笠堤では、オシドリが渡りの中継地として十月下旬に大集合する。その数は一〇〇羽前後で、十一月には八〇羽前後が町内外へと分散する。そして、三月になると再び多くなる。
 確認されたため池は、笠堤・中堤・下堤・新堤・浦山池・味噌池・黒岩池・松延池・牧ノ池・湯ノ谷池である。
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