■筑前町の自然 TOP■
三 筑前町全域にホタルの復活を!

 ホタルは、山間・山麓から遠く離れた、東小田下の水路に僅かであるが出現し始めている。カワニナは多く、昔、田んぼにいた日本古来のマルタニシも住んでいる。その場所は三面コンクリートの水路で、丁度水の流れが緩やかになっている。そして、水路の傍には、ホタルの休む場所となる庭木があり、比較的シンプルな自然環境である。

東小田下の水路
 このことは、大変重要な意味を持っている。それは、筑前町の全ての地域で、ホタルが生息できる水質環境が整っていることを、証明しているからである。川や水路の水質については、第二節四項で詳細に記載している。町行政による下水道施設の完備と、国政による農薬使用規制の大きな成果である。ホタルが発生する水の環境は、他の多くの水生動物も復活を始めていることを示している。生物多様性の復活である。

 六〇年前は、町内全域の川や水路で、ホタルが舞うのは当たり前であったが、その環境を取り戻すことはできないか。町内どの地域でも、規模は小さくても、日本古来のホタルが舞う初夏の風物詩を取り戻すことはできる。それには、自然の動物が生活できる場所を、少しでも返していく、人々の優しさと知恵と行動によって可能となる。

ホタル舞う水路(砥上)
 本町には、山麓から南西に走る農業用の水路が数多くある。この水路にホタルが育つ環境を作ることができる。そのヒントは、畑嶋の仕切り板や梅川と砥上の天神川の川底にある。ホタルの幼虫の餌となるカワニナは、僅(わず)かな厚さの泥と僅かな水深が常にあればよい。数cmの高さの仕切り板を水路の一部に設置すれば、その環境はできる。そこに、石ころを適当に置いておけば、石の下はホタルの幼虫の休息場所となる。成虫のホタルの休息場所も、人々の優しさと知恵と行動によって可能となる。

水生動物が住める環境の工夫を
 参考例として、大己貴神社東側の用水路の写真を掲載した。山麓から平野部の水路の仕切り板の数はもっと少なくてよいと考えている。

大己貴神社東側の用水路


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