■筑前町の自然 TOP■
九 紹介しておきたい動物

◆キジ(キジ科)
 三箇山・櫛木の裏作をしない田では、畦草の新芽・葉・種子やクモ類・昆虫類を啄みながら歩いているキジをよく見かける。菜の花の咲く頃の繁殖期には、♂が縄張りを鳴き声と羽ばたきで主張している。人の気配がすると、すぐ傍のスギ林や藪に逃げ込むが、しばらくすると元の場所に現れて、縄張りの主張を繰り返す。鳴き声が「ケーン、ケーン」と周囲によく響きわたる。大己貴神社周辺の農耕地と境内にも出現しているほか、町内の山麓や丘陵地の農耕地にも生息している。畦の草刈りをしていると、抱卵中の♀に出くわすことがあるという。

縄張りを主張するキジ♂(三箇山)
◆ヤマアカガエル アカガエル科【絶U】

ヤマアカガエル
 上曽根田の親水公園駐車場上の道路から、山に登って行くと、左手に水が溜る溝が七か所ある。その内の一か所に、ヤマアカガエルが毎年産卵に訪れている。

ヤマアカガエルの産卵溝
 土地所有者の原氏が、保護のために生育環境を整備して、オタマジャクシの一部を近くの砂防堤下の水域に移している。幼体に成長した七月になると、山中へ散っていく。その溝にはイモリも生活し、近年少なくなった蛇のヤマカガシも見かけた。

ヤマアカガエルのオタマジャクシの移動場所
◆ミズイロオナガシジミ(シジミチョウ科)【準絶】

ミズイロオナガシジミ
 サンポート東側のクヌギとコナラの林に生息している。シジミチョウ科の「ゼフィルス」に属し、愛好家に珍重されている。多いときで八頭を確認する。日中は、林の中や道路わきの草に静かに止まっていて、夕方に活動している。翅の表は灰白色、裏は白色の地に黒色の丸・直線・L字・V字の模様が鮮明にあり、後翅には橙色の斑点と尾状突起があって、みずみずしい美しさがある。名にミズイロとあるが翅にはその色は無い。

ミズイロオナガシジミが生息するクヌギ林
◆エゾハルゼミ(セミ科)
 翅は、クマゼミ・ヒグラシ・ツクツクボウシと同じく透明である。本町では、曽根田の親水公園東側上方の森と、九州電力中央変電所の向かいの山で鳴き声を確認する。エノキやブナなどの落葉樹を好み、時には、傍のスギなどでも鳴いている。高所で鳴くので撮影はできなかった。町内には、ニイニイゼミとアブラゼミを加え、六種のセミが生息する。
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