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二 目配山と砥上岳の草原

 この二つの山の草原は、共通して山頂にある。五月から六月にかけて咲くノアザミの花では、美しい天女を想起させるアサギマダラを見ることができる。この蝶は、日本と南西諸島や台湾との間で渡りをするので、そのコースを知るために行うマーキング調査は有名である。

砥上岳の草原


目配山の草原


アサギマダラ
 同じ蝶類のツマグロヒョウモン、モンキチョウ、キアゲハもノアザミに訪れている。また、クマバチも良く見かけ、ホバリングをしているかと思えば、他の場所へ瞬間移動を行う。攻撃性はなく安全なハチなので、その行動をじっと見つめていると、実に微笑ましく楽しい。

ツマグロヒョウモン♀


ホバリング中のクマバチ
 シカの糞を所々見かけ、草やササに食痕があるので、鹿も良く訪れていることが分かる。目配山の東側に生えているススキは、一部倒されてイノシシの休息場所になっている。

 目配山でマルクビツチハンミョウ(ツチハンミョウ科)を確認、この昆虫はファーブル昆虫記にも登場する特異な昆虫である。丸々とした腹に数千個もの卵を持ち、地中にまとめて産卵する。孵化した幼虫は付近の草花に登り、ハナバチ類に取り付き巣穴に運ばれると、ハナバチの卵や貯えられた花粉と蜜を食べて親になる。このように、ハナバチ類の巣に寄生する特異な生態を持っている。体長は約二五_で翅は退化し飛翔できない。足の関節から黄色の毒液を出すが、中国では、暗殺に用いられていたそうである。ただ、ハナバチ類に取り付くことができなかった多くの幼虫は、生きていくことはできない。

マルクビツチハンミョウ
 野鳥は、カシラダカ・ホオジロ・ミヤマホオジロ・アオバト・カワラヒワ・ガビチョウ・メジロ・シロハラ・カケスを見かける。
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